ログ監視とは?システムの特徴や導入のポイントについて解説
日々膨大なデータを出力するシステムやアプリケーション。「行動記録」であるログをただ保管しているだけでは、万が一の事態に迅速に対応できません。そこで重要となるのがログ監視です。
ログ監視は、セキュリティリスクの早期発見やシステム障害の予防・迅速な対応を目的としています。ログをただ保管する「ログ管理」と連携して、その価値を最大限に引き出します。
本記事では、ログ監視の基本から、その機能、そして導入時に押さえるべきポイントまでを詳しく解説します。労務管理に関わる人事関係者の方は、ぜひ参考にしてください。
ログ監視とは、システムやアプリケーションが日々出力するログを継続的にチェックし、異常や問題が発生していないかを自動で検知する仕組みを指します。その定義と目的、監視と管理の関係性は、以下のとおりです。
●ログ監視の定義と目的
●ログ監視とログ管理の関係性
それぞれ詳しく見ていきましょう。
ログは、システムの「行動履歴」や「出来事の記録」であり、いつ、誰が、何をしたか、どのようなエラーが起きたかといった情報が時系列で保存されたものです。ログ監視の最も重要な目的は、セキュリティリスクの早期発見と、システム障害の予防、そして問題発生時の迅速な対応です。この仕組みがあることで、担当者が常にログを目で追う必要がなくなり、効率的にシステムの健全性を維持できます。
ログ監視とログ管理は密接に関係していますが、それぞれ役割が異なります。
| 項 目 | 役 割 |
|---|---|
| ログ管理 | ログを一元的に収集・保管・整理すること。 膨大なログデータを効率的に検索・分析できるようにする基盤を構築する。 |
| ログ監視 | ログ管理システムに集約されたログデータの中から、あらかじめ設定したルールに基づいて特定の情報(エラー、警告など)を抽出し、異常を検知した際にアラートを通知する機能。 |
ログ管理がログを「保管する」ことに対し、ログ監視は保管されたログを「活用する」ことが役目です。両者は、システムの安定稼働や労務管理への活用など、セットで運用することで最大の効果を発揮します。
システムの種類や役割に応じて、監視すべきログは多岐にわたります。ここでは、代表的なログの種類とその役割を解説しましょう。
●認証ログ
●操作ログ
●システムログ
●アプリケーションログ
●Webログ
それぞれ詳しく見ていきましょう。
ユーザーのログインやログアウト、認証の失敗といった「誰がいつ、システムにアクセスしようとしたか」「誰がいつPCを利用したか」の記録が認証ログです。不正ログインの試みや権限外のアクセスがないかを監視し、セキュリティリスクを早期に発見するのに役立ちます。また、勤務状況の客観的な記録としてサービス残業防止にも活用されています。
操作ログとは、特定のユーザーがシステム内やPCなどの末端(エンドポイント)でどのような操作を行ったか(ファイルの作成・削除、設定変更、データの閲覧、アプリケーションの利用状況など)を詳細に記録するものです。
特にPCで取得される操作ログは「末端ログ」とも呼ばれ、キーボードやマウスの操作があった「アクティブ時間」の証明に活用されます。このログは、内部不正や情報漏洩につながる不審な操作を追跡するだけでなく、問題発生時の原因究明や、従業員の正確な労働実態の把握に役立ちます。
OS(オペレーティングシステム)やサーバーのハードウェアに関するイベントやエラーの記録がシステムログです。サーバーの起動・停止、ディスク容量の逼迫、CPU使用率の急増といったシステム全体の健全性を監視し、障害の予兆を検知するのが役割です。
個々のアプリケーションが生成する、アプリケーション固有の動作やエラーの記録がアプリケーションログです。アプリケーションの動作不良、機能エラー、処理の遅延などを特定し、サービス品質の維持・向上に不可欠な情報を提供します。
Webサーバーが受けたリクエスト(アクセス)の記録がWebログです。アクセス日時、IPアドレス、リクエストされたURL、レスポンス結果などが含まれます。Webサイトへのトラフィック分析、DoS攻撃やSQLインジェクションといったサイバー攻撃の検知、Webサービスのパフォーマンス監視に利用されます。
ログ監視機能は、おもに以下の3ステップで構成されています。
●ログデータの収集と集約
●ログの分析と可視化
●アラート設定と通知
それぞれ詳しく見ていきましょう。
ログ監視の最初のステップは、システム内の様々なソースからログデータを収集することです。サーバー、ネットワーク機器、アプリケーションなど、異なる場所で生成されるログを一元的に集約します。
ログ収集ツールは、リアルタイムでログをストリーミングしたり、特定のディレクトリからログファイルを定期的に取得したりする機能を持っています。複数のシステムに分散している膨大なログを一つの場所に集め、次のステップである分析に備えるのが、このフェーズの役割です。
収集されたログデータは、ただのテキストの羅列ではありません。ログ監視システムは、集めたデータを分析し、意味のある情報に変換します。具体的には、特定のキーワード(例:「Error」「Failed」)を検知したり、アクセス数の急増をパターンとして認識したりなどです。高度なシステムでは、機械学習を活用して、通常とは異なる「異常な挙動」を自動で検知する機能も備わっています。この分析機能により、人間が見過ごしがちな異常を自動で特定し、問題の早期発見につなげられます。
分析によって異常が検知された場合、ログ監視システムはそれを可視化し、担当者にアラートを通知します。ログデータはグラフやダッシュボードに表示され、システムの健全性を一目で把握できます。事前に設定されたしきい値(例:ログイン失敗が5回以上発生)を超えた場合、メール、SMS、チャットツールなどでお知らせが届くように設定可能です。担当者はリアルタイムで状況を把握し、迅速な対応を取るのに役立ちます。
ログ監視ツールはただ導入すれば良いというものではありません。効果を最大限に引き出し、運用を軌道に乗せるために、導入時のポイントを解説します。
●導入の目的を明確にする
●段階的に構築する
●ガバナンスを厳格に強化する
それぞれ詳しく見ていきましょう。
ログ監視ツールを導入する前に、なぜ導入するのかという目的を明確にすることが重要です。「ログを監視する」だけでなく、「セキュリティインシデントを未然に防ぎたい」「障害発生時の原因究明を迅速にしたい」「IT統制を強化したい」といった具体的なゴールを設定するとよいでしょう。目的が定まれば、それに合った機能(例:高度なセキュリティ分析、パフォーマンス監視)を持つツールを選定できるようになります。
ログ監視システムの導入は、一度に全ての機能を完璧に揃えるのではなく、段階的に進めるのが賢明です。まずは、最小限の重要なログ(認証ログやクリティカルなエラーログなど)の監視から始め、ツールの使い方や運用体制に慣れていきましょう。監視対象を徐々に拡大し、最終的に全社的なログ管理・監視基盤を構築していくようにしましょう。
ログ監視は、単にツールを導入するだけでなく、厳格な運用体制を確立することが不可欠です。誰が、どのようなログにアクセスできるか、アラート通知を受けた際の対応手順、ログデータの保管期間など、明確なルールを定める必要があります。特に個人情報や機密情報を含む可能性のあるログの取り扱いには十分注意しましょう。ガバナンスを強化することで、情報セキュリティを確保し、コンプライアンスを遵守した運用が可能になります。
ログ監視は、システムの安全と安定稼働に欠かせない重要な仕組みです。多岐にわたるログの種類を適切に監視すれば、セキュリティ脅威やシステム障害の予兆をいち早く捉えられるでしょう。導入に際しては、単にツールを導入するだけでなく、目的の明確化、段階的な基盤構築、そして厳格な運用体制の確立が成功の鍵となります。
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