コラム:残業時間の上限規制とは?残業における企業側のリスクや対策方法を解説 勤怠記録の重要性|目的や必要項目、客観的記録として有効な方法を解説

勤怠記録の重要性|目的や必要項目、客観的記録として有効な方法を解説

法令遵守の観点から、従業員の労働時間を適正に把握することの重要性は高まっています。しかし、単に勤怠を記録すれば良いというものではなく、客観的な記録に基づいて管理することが重要です。

本記事では、勤怠記録の重要性、必要項目、勤怠記録の取得方法などを詳しく解説します。



勤怠記録の重要性

勤怠記録の重要性

勤怠管理とは、従業員の労働時間を正確に把握し、管理することです。労働基準法では労働時間に関するさまざまな基準が定められており、企業はこれらを遵守しなければなりません。

また、厚生労働省のガイドラインでは、労働時間の適正な把握のために使用者が講ずべき措置として、「労働者の労働日ごとの始業・終業時刻を確認し、適正に記録すること」と定められています。
労働時間の記録は、客観的な記録に基づいて行うことが原則とされています。

参考サイト:厚生労働省「労働時間の適正な把握のために使用者が講ずべき措置に関するガイドライン」

客観的な記録とは

厚生労働省が定めたガイドラインでは、「客観的な記録」としてタイムカード、ICカード、パソコンの使用時間の記録(PCログ)などが挙げられています。
これらの客観的な記録を基本情報とし、必要に応じて、管理者が従業員の労働時間を算出するために保有している記録と照合しながら確認・記録する必要があります。

なお、原則として自己申告による労働時間の把握は認められていませんが、やむを得ず自己申告制を採用する場合は、管理者や従業員に対して十分な説明を行う必要があります。
また、実態調査の実施や自己申告を阻害する措置の禁止など、一定の条件を満たすことが求められます。

参考サイト:厚生労働省「労働時間の適正な把握のために使用者が講ずべき措置に関するガイドライン」

客観的な記録による労働時間の把握は義務化されている

2019年4月施行の働き方改革関連法により、労働安全衛生法が改正され、企業には従業員の労働時間を適切に把握することが義務化されました。
また、労働安全衛生規則では、客観的な記録に基づいて労働時間を把握することが定められています。さらに、客観的な記録により把握した労働時間の状況について記録を作成し、5年間(現時点では経過措置として3年間)保存する義務があります。

参考サイト:e-GOV法令検索「労働安全衛生法」       e-GOV法令検索「労働安全衛生規則」

勤怠記録を残す主な目的

勤怠記録を残す主な目的

勤怠記録を残す目的はさまざまあります。ここでは、勤怠記録を残す主な目的として、以下の2つを解説します。

●法令・コンプライアンス遵守
●正確な給与計算

法令・コンプライアンス遵守

勤怠記録を残す目的の一つに、法令・コンプライアンス遵守があります。
従業員の労働時間を適正に把握することで、法定労働時間を超える残業の早期発見や是正につながるだけでなく、残業代の未払いといったリスクを回避できます。
さらに、過重労働による従業員の健康被害の未然防止にもつながり、安心して働ける環境づくりに役立ちます。

正確な給与計算

勤怠記録を残す目的として、正確な給与計算も挙げられます。給与計算を行うには、従業員の労働時間に関する適正なデータが必要です。勤怠記録を残すことで、給与計算を正確かつスムーズに行えるようになります。

また、労働時間を適正に把握することで、従業員一人ひとりや部署ごとの人件費の状況も把握しやすくなります。人件費を正しく把握できれば、必要以上に発生しているコストの見直しや、業務の効率化が必要な部署の検証にも役立ちます。

勤怠記録の適用範囲

勤怠記録の適用範囲

勤怠記録が求められる範囲は、事業場と労働者でそれぞれ異なります。ここでは、勤怠記録の適用範囲について、事業場と労働者それぞれのケースに分けて解説します。

対象となる事業場

勤怠記録の対象となる事業場は、「労働基準法のうち労働時間に係る規定(労働基準法第4章)が適用されるすべての事業場」と定められています。つまり、業種や事業規模にかかわらず、従業員を雇用している企業の多くは勤怠記録を作成・管理する必要があります。

ただし、農業や水産業など、自然や天候の影響を受けやすい業種は除外される場合があります。

参考サイト:厚生労働省「労働時間の適正な把握のために使用者が講ずべき措置に関するガイドライン」

対象となる労働者

勤怠記録の対象となる労働者は、「労働基準法第41条に定める者およびみなし労働時間制が適用される労働者(事業場外労働を行う者にあっては、みなし労働時間制が適用される時間に限る)を除くすべての労働者」と定められています。
つまり、業種や事業規模にかかわらず、従業員を雇用している場合は、ほとんどのケースで勤怠記録の作成・管理が必要となります。

一方で、管理監督者や裁量労働制の適用者、事業場外労働のみなし労働時間制適用者は対象外とされています。ただし、厚生労働省のガイドラインでは「本ガイドラインが適用されない労働者についても、健康確保を図る必要があることから、使用者において適正な労働時間管理を行う責務があること」と定められているため注意が必要です。

参考サイト:厚生労働省「労働時間の適正な把握のために使用者が講ずべき措置に関するガイドライン」

勤怠記録の必要項目

勤怠記録の必要項目

労働基準法では、「労働者名簿」「賃金台帳」「出勤簿」「年次有給休暇管理簿」の作成・保存が義務付けられています。
これらの帳簿には、労働時間や休暇などに関する情報を適切に記載する必要があります。

ここでは、勤怠管理を行ううえで記載が求められる主な項目について解説します。

参考サイト:宮城県農業経営・就農支援センター「~法定帳簿 揃っていますか?~」

労働日数

従業員が出勤した日数を正確に記録します。また、欠勤日のほか、休日を適切に取得できているか、休日出勤があった場合は振替休日や代休を取得できているかを確認することも大切です。

始業・終業時刻(労働時間数)

出勤した日の始業時刻と終業時刻に基づき、労働時間数を正確に記録します。ここで記録するのは会社の所定労働時間ではなく、従業員が実際に勤務を開始した時刻と終了した時刻です。労働時間は、実態に基づき1分単位で管理する必要があります。

休憩時間

休憩に入った時刻と終了した時刻に基づき、休憩時間を正確に記録します。労働基準法では、「労働時間が6時間を超え、8時間以下の場合は少なくとも45分」「8時間を超える場合は少なくとも1時間」の休憩を与えることが義務付けられています。法令遵守のためにも、従業員が法定の休憩時間を取得できているかを確認することが重要です。

参考サイト:厚生労働省「労働時間・休憩・休日関係」

時間外労働(残業時間)の時間数

会社の所定労働時間を超えて勤務した時間(残業時間)を正確に記録します。特に、法定労働時間として定められている1日8時間・週40時間を超えた労働時間は「時間外労働」と呼ばれ、割増賃金の支払いが必要となるため、正確に把握することが重要です。

たとえば、所定労働時間が7時間の会社で9時間労働をした場合、残業時間は2時間となります。ただし、そのうち時間外労働に該当するのは、法定労働時間を超えた1時間分のみです。

時間外労働の時間数を正確に記録することは、割増賃金を適切に計算するうえでの根拠となります。同時に、長時間労働の把握や過重労働の防止にもつながります。

参考サイト:厚生労働省「時間外労働の上限規制|わかりやすい解説」

深夜労働・休日労働の時間数

22時から翌5時までの時間帯に勤務した時間(深夜労働時間)と、法定休日に勤務した時間(休日労働時間)を正確に記録します。時間外労働と同様に、深夜労働や休日労働についても割増賃金の支払いが必要となるため、適切に把握することが重要です。

たとえば、14時から23時まで勤務した場合、22時から23時までの1時間は深夜労働に該当し、割増賃金の対象となります。

参考サイト:厚生労働省「時間外労働の上限規制|わかりやすい解説」

有給休暇取得日数

年次有給休暇の取得日や取得日数を正確に記録します。年次有給休暇が10日以上付与されている従業員については、年5日以上の取得が義務付けられています。適切に取得できているかを確認するとともに、従業員が有給休暇を十分に取得できていない場合は、取得を促すことが大切です。なお、この対象には管理監督者や有期雇用労働者も含まれます。

参考サイト:厚生労働省「年5日の年次有給休暇の確実な取得|わかりやすい解説」

勤怠の記録方法

勤怠の記録方法

勤怠を記録する方法にはさまざまなものがあります。ここでは、勤怠の記録方法として、以下の5つをメリット・デメリットとあわせて解説します。

●紙の出勤簿
●Excel・Googleスプレッドシート
●タイムカード
●勤怠管理システム
●PCログ

紙の出勤簿

紙の出勤簿に、出勤した日付や出退勤の時刻といった勤怠情報を記入していく方法です。
インターネット環境が整っていない環境でも簡単に勤怠情報を記録できるため、職種や業務内容を問わず導入しやすいメリットがあります。コストをかけずに勤怠記録を残せる点も魅力です。

一方で、手書きによる自己申告となるため、記入漏れや不正申告が発生するリスクがあり、不正行為の防止が難しい点は大きなデメリットといえるでしょう。
厚生労働省のガイドラインで求められている「適正な労働時間の把握」を実現するのは難しくなります。また、アナログの方法なので、集計作業や給与計算に多くの時間と労力がかかる点にも注意が必要です。

Excel・Googleスプレッドシート

ExcelやGoogleスプレッドシートに、従業員が出勤した日付や出退勤時刻などの勤怠情報を入力する方法です。
Excelは社用パソコンに標準搭載されているケースが多く、Googleスプレッドシートも無料で利用できるため、追加のコストがかからない点がメリットです。
また、関数を使うことで自動計算が可能となり、紙の出勤簿と比べて集計作業や給与計算の手間を軽減できます。

一方で、手入力による管理となるため入力ミスや計算式のエラーが起こりやすく、不正申告や改ざんのリスクが高い点は大きなデメリットです。
ファイルの破損や誤って上書きしてしまうリスクがある点にも注意が必要です。厚生労働省のガイドラインでも推奨されていない方法なので、利用する際は慎重に運用する必要があります。

タイムカード

専用のタイムレコーダーを使用し、紙のタイムカードに出退勤時刻を打刻する方法です。厚生労働省のガイドラインでも、労働時間を適正に把握するための方法の一つとして挙げられています。
レコーダーを購入・設置すればすぐに記録を開始できるため、比較的低コストで導入が可能です。操作も簡単で、不正の防止につながりやすい点もメリットといえます。レコーダーによる客観的な記録で、より正確な勤怠情報を管理できるでしょう。

一方で、タイムカードは出退勤時刻のみを記録するものが多く、それ以外の勤怠情報については手動で転記作業を行う必要があります。その際に、転記ミスや給与計算のミスが発生する可能性も否めません。
また、この方法ではレコーダーの設置が必要となるため、テレワークや社外での勤務には対応しにくい点もデメリットです。

勤怠管理システム

勤怠管理システムは、ICカードやパソコン、スマートフォンなどと連携してシステム上で打刻を行い、勤怠情報を一元管理する方法です。
簡単に打刻でき、リアルタイムで出退勤の状況を把握できるため、不正打刻の防止につながります。また、労働時間を自動集計・分析できるので、給与計算の効率化にも役立ち、管理にかかる手間を大幅に削減できるでしょう。
クラウド型のサービスも多く、テレワークや社外での勤務にも対応可能です。客観的な記録としての信頼性も高く、効率的に勤怠管理を行えます。

一方で、導入や運用には一定のコストがかかります。また、システムによって機能やサポート内容、カスタマイズ性が異なるため、自社の環境や働き方に合ったサービスを選ぶことが重要です。

PCログ

PCログは、パソコンを起動した時刻や電源を切った時刻を自動で収集する方法です。
ログオン・ログオフ時刻が自動で記録されるため、リアルタイムで労働状況を把握できます。自己申告によるデータと照らし合わせることで乖離のチェックができ、サービス残業や長時間労働の早期発見・防止にもつながります。
客観的な記録方法として厚生労働省のガイドラインでも推奨されており、より実態に即した勤務状況の把握が可能です。

ただし、パソコンのログオン・ログオフ時刻をそのまま労働時間とみなす場合、運用ルールを徹底しないと勤務時間の不正につながるおそれがあります。
「業務開始時にパソコンを起動する」「業務が終了したらパソコンの電源を切る」といった運用ルールを整備し、従業員に周知するとともにルールが守られているかを定期的に確認することが重要です。
なお、PCログは単体で勤怠管理ができる仕組みではありませんが、客観的な労働時間データを収集する手段として非常に有効です。別の勤怠管理ツールと併用して、PCログツールの導入を検討すると良いでしょう。

PCログツールを導入するメリット

PCログツールを導入するメリット

労働時間を適正に把握し、法令を遵守するためには、PCログを活用することが有効です。ここでは、PCログを導入するメリットとして、以下の3つを解説します。

●より実態に即した勤務状況を把握できる
●不正行為の早期発見や防止につながる
●テレワークにも柔軟に対応できる

より実態に即した勤務状況を把握できる

PCログはパソコンのログオン・ログオフ情報を自動で収集するため、実際の稼働時間をリアルタイムで客観的に記録できます。厚生労働省のガイドラインにも合致する、信頼性の高い記録方法です。

また、製品によってはスリープ情報を取得できるものもあります。スリープ情報も収集する製品であれば、休憩時間やパソコンを使用していない私用時間なども把握でき、より実態に即した勤務状況の把握が可能になります。

不正行為の早期発見や防止につながる

PCログには、不正行為の早期発見や防止につながるメリットがあります。たとえば、退勤打刻後や休日にパソコンが稼働しているログが残っていた場合、サービス残業や時間外労働が発生している可能性を早期に把握できます。
自己申告による勤怠データと照らし合わせることで乖離をチェックでき、実態に合わない勤怠記録の発見にも役立つでしょう。異常が見つかった場合は、従業員へのヒアリングを行ったり、サービス残業や時間外労働を是正するための措置を講じたりといった対応が可能です。

また、あらかじめ従業員にPCログの活用を周知しておくことで、サービス残業やカラ残業、労働時間の虚偽申告などの不正行為を未然に防ぐ効果も期待できるでしょう。その結果、従業員の健康管理やワークライフバランスの向上にもつながります。

テレワークにも柔軟に対応できる

テレワークでは、管理者の目が行き届きにくく、労働時間が曖昧になりがちです。PCログを導入すれば、パソコンの稼働状況をリアルタイムで確認できるため、従業員の労働時間を把握しやすくなります。

また、オフラインに対応している製品を導入すれば、ネット環境がない場所や移動中でもログをローカルに保存し、次回起動時に自動でアップロードが可能です。これにより記録漏れを防ぎ、場所や環境を選ばずに客観的な記録を残せる点は大きなメリットといえるでしょう。

まとめ

まとめ

企業には、従業員の労働時間を適正に把握することが義務付けられています。
厚生労働省のガイドラインでは、原則として客観的な記録に基づいて労働時間を把握することが定められています。
勤怠の記録方法にはさまざまなものがありますが、ガイドラインで推奨されている方法の一つがPCログです。

「ez-PCLogger(イージーピーシーロガー)」は、PCログオン・ログオフ情報収集に特化したクラウドサービスです。
人の手を介さずログを収集するため、厚生労働省が推奨する「客観的な記録」として強力な証拠となります。

また、多数の勤怠管理システムと連携実績があり、システム入れ替えの手間なく、客観的記録の機能を付加できます。
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