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意義や必要性を理解していますか?「勤怠管理」とは

毎日の業務の一つとして何となく勤怠の報告を行っている方も多いと思いますが、企業にとっては非常に重要な業務内容です。
そもそも勤怠管理にはどんな意義があり、何のために行うのか、さらにその具体的な方法などについて解説していきます。


勤怠管理とは何か?

勤怠管理とは、従業員の出勤や退勤時間、勤務時間、休憩時間、欠勤日数、残業時間、有給休暇取得日数、振替休日や代休の取得状況について、適時正しく認識し、記録することです。これらの管理が必要なのは、労務管理の点から単に法律上求められているからというだけでなく、企業にとって最も大きな費用を占める「人件費」の基礎データとなるからです。企業は勤怠管理によって数値化されたデータをもとに、毎月の給与や残業代、ボーナス、有給休暇などの支給を決定します。つまり勤怠管理によって得られたデータは、企業の根幹をなす経営計画や経営管理を策定する上でも重要なのです。

また、適切な勤怠管理によって従業員の就労状況を経営陣や現場責任者が正しく把握することで、従業員の健康状態や精神面での状況把握に役立ちます。これらの状況を正しく把握せずにいると最悪の場合、従業員の過労死などにつながり、多額の訴訟問題にも発展しかねません。適切な勤怠管理が行われていれば、そのようなリスクから企業を守ることもできるのです。

労働基準法とガイドライン

テレワーク(在宅勤務)には、雇用する企業側にも働く側にも様々なメリットがある一方で、企業側にとって注意すべき課題もいくつかあります。セキュリティ対策や従業員間における意思疎通方法、そして「勤怠管理をどのように行うか」という点です。

勤怠管理において在宅勤務制度を導入している場合、その企業は勤怠管理を通じて、従業員の勤務日数や労働時間、有給休暇や病気などによる欠勤といった状況を正確に把握し、適正に管理することが労働基準法上からも求められます。

パソコンやスマートフォンなどの通信機器がインターネットに常時接続できる環境下での在宅勤務の場合、労働基準法上、通常の勤怠管理を行う必要があります。従って、プライベートと仕事をきっちりと線引きして管理し、所定の勤務時間以上の就労に対しては、残業代の支給も必要です。

そうは言っても、厳密にプライベートと仕事を線引きすることは難しいものです。そこで、テレワークの場合の勤怠管理の方法についてご紹介していきます。

テレワーク(在宅勤務)の勤怠管理に適切な方法とは

雇用主は労働基準法という法律で労働者の勤怠管理をするよう義務付けられています。同法は使用者にとって、雇用している労働者が健全に働くことができる環境を、責任持って確保できているかどうかを判断するための重要な基準となっています。また、厚生労働省により平成29年1月20日に策定された「労働時間の適正な把握のために使用者が講ずべき措置に関するガイドライン」にも、使用者は労働時間を適正に把握し、労働時間を適切に管理すべき旨がはっきりと記されています。
これら労働基準法やガイドラインに違反すれば、当然のように法的な罰則が企業に科せられることになります。

なお、この厚生労働省のガイドラインでは、労働時間の管理について詳細に定められています。まず、労働時間の適正な把握のために労働者の勤務日ごとの始業時刻と終業時刻を確認し、記録することが求められています。そのための方法として、管理者自らが現認による管理を行い、タイムカードやICカードによる打刻時刻、パソコンの使用時間(ログオン/ログオフ)の記録など客観的な記録をもとに正しく記録することも合わせて求めています。
上記のような管理ができず、従業員(労働者)による自己申告制を取らざるを得ない場合についても適正な管理を行うことが義務付けられています。ほかにも賃金台帳を適性に備え、タイムカードや台帳など労働時間に関する書類については最低3年間保存しなければならないと記されています。

勤怠管理を行う意義やメリット

法律で勤怠管理を義務付けられているばかりでなく、勤怠管理をすること自体にも様々なメリットがあります。先述のとおり、適切な勤怠管理により、長時間労働や過労死、ひいてはそれらにともない従業員やその家族から提訴されるといった事態が発生することを未然に防ぐことができます。

企業のコンプライアンス上の意義以外にも勤怠管理には大きなメリットがあります。企業の経営資源とは、「人」「モノ」「カネ」「情報」の4つであると言われています。その中でも「人」というのは企業にとって最も大きな固定費となっています。
正しい勤怠管理によって、必要以上に残業や長時間労働が行われるような実態を経営陣が把握でき、その状況分析に着手できるようになります。
分析の結果、適正な人材配置や残業時間を減らす取組みを社内一体となって推進できるようになるかもしれません。このような取組みは企業にとって大きな人件費の削減や人材活用の適正化にも通じ、ひいては経営効率化にもつながります。

様々な方法がある勤怠管理

企業が行う勤怠管理の方法は、会社の規模や従業員数、勤務形態などによって実に様々です。ここではこれまで多くの企業で取り入れられてきた方法から最新のものまで、勤怠管理の具体的な方法についてご紹介していきます。

従来の方法

勤怠管理の方法の中で最も多い方法の一つが、タイムカードによるものです。タイムカードは従業員が多い企業でもとても簡単に管理が行えて便利です。システムの導入コストも安く、シンプルで理解しやすいものです。しかし、従業員が仲間うちで他の仲間のために不正に打刻したり、タイムカードを押すタイミングでズレが生じたりと正しい記録が行われない可能性があります。

また、よりシンプルな方法として、エクセルシートや紙の出勤簿を利用している企業もあります。エクセルや紙の出勤簿は新たなシステムの導入などせずに行える手軽さがあります。しかし、従業員数が多い企業などでは特に手入力による集計ミスなど、人為的なミスに端を発した記録の間違えが起こるリスクがあります。
ほかにも、従業員の勤務形態などによってやむを得ず自己申告制による出勤簿などを利用している企業もあります。しかし、これもあくまで自己申告であるために慣れ合いや不正申告が行われるリスクがゼロではありません。

最新の方法とは?

従来の勤怠管理方法のデメリットを克服できるものとして勤怠管理システムの導入があります。インターネットを通じて企業が提供するサービスを利用し勤怠管理を行う「クラウド型システム」、社内のサーバでアプリケーションソフトを起動して管理を行う「オンプレミスタイプ」、専用のタイムレコーダー端末にICカードをかざして打刻する「タイムレコーダータイプ」などがあり、いずれも従来のマニュアル操作による人為的なミスや不正などを防ぐのに効果的な方法となっています。

勤怠管理の重要性や必要性の他、その具体的な方法などについて解説してきました。勤怠管理の重要性や意義について今一度認識するのに参考となれば幸いです。

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