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休日に期限はあるの? 意外と知らない勤怠管理における
「休日・休暇の期限」

知っているようで知らない、代休や振替休日、有給休暇の期限。代休や振替休日の実体を理解しないで、なんとなく取得してはいないでしょうか。勤怠管理の基本中の基本であるこれらの期限について解説します。それぞれの期限や内容の違いをきちんと理解しておくことで、「代休が期限切れになって取れない」「休日手当てがもらえない」などといったトラブルを未然に防ぐことができます。


振替休日の期限

振替休日とは、予め定められている休日(例えば土曜日や日曜日)を”事前に”労働日(平日)に変更し、代わりに他の労働日(平日)を休日に変更すること、つまり、平日と休日を事前に入替えることです。この”事前に”という事が重要なポイントです。つまり、労働日と休日を事前に振り替えておくので、本来の休日が労働日になるため、その日の労働は休日出勤扱いにはなりません。このため、休日出勤に対しての割増賃金の支払義務もありません。これが代休との大きな違いです。

振替休日の期限

休日出勤をした場合、振替休日の期限は代休と同様に労働基準法により時効となる2年間が限度です。しかし、勤怠管理で2年間にわたる全社員の振替休日数を管理するのはほぼ不可能なので、期限を設けなければなりません。振替休日はなるべく休日出勤した日の付近で取得することが最善です。多くの会社では、振替休日の取得期限は1か月以内としています。

有給休暇の期限

有給休暇とは、取得しても賃金が支払われる有給の休暇日のことです。正式には年次有給休暇と言います。
有給休暇は勤続年数によって付与される日数が異なります。採用から6か月を経過した日に10日の有給休暇を与えなければなりません。その後は、1年を経過するごとに、勤続年数に応じた日数を与えなければなりません。また、付与対象となるのは、付与日の直前1年間(最初の付与は直前6か月間)の出勤率が8割以上の従業員です。正社員はもちろん、パート・アルバイト従業員も有給休暇の付与対象となります。

勤続年数に応じた有給休暇の付与日数(基本)

有給休暇の付与日数は勤続年数と比例して付与される日数が増えていきます。付与日数については労働基準法で基準値が定められています。

正社員 勤続年数と有給休暇の付与日数
パート・アルバイト 勤続年数と有給休暇の付与日数

有給休暇の期限

有給休暇の有効期限は発生から2年間で、2年以内に取得しないと時効消滅となります。

有給休暇の買取りができるケース

有給休暇の趣旨は、本来働く人の心身をリフレッシュすることによって健康を守ることですので、有給休暇の買取は原則禁止となっています。しかし、以下の3つのケースに限っては有給休暇の買取が認められています。

〇退職者が有給休暇を消化できなかったとき
 有給休暇は在職中に取るものですので、退職者には未消化分の有給休暇の買取りが認められています。
〇有給休暇の有効期限(2年間)までに消化できなかったとき
 有効期限(2年間)までに取得できず、消滅してしまった分の有給休暇を買い取ることができます。
〇会社から法定日数(労働基準法で決められた有給休暇の日数)以上の有給休暇を付与されているとき
 法定日数を超過している分は有給休暇の買取りが認められています。
 有給休暇の買取りについては、就業規則を確認するようにしましょう。

有給休暇を取得することが企業の義務化へ

世界の国々と比べて日本企業の有給休暇の取得率は決して高くありません。やはり有給休暇を取ることに対して社員は何かしら後ろめいたものがあって取りづらいのではないでしょうか。日本政府では有給休暇の取得率アップのために企業に対して有給休暇の取得を義務化しようとしています。働く人が会社で定められた有給休暇を所定の期限内に完全消化できれば、買取りも不要となります。
※今国会で成立すれば、平成31年4月1日から有給休暇5日の取得が義務化されます。

代休の期限

代休とは、休日に出勤した場合に、後でその代わりとして取得する休日のことです。代休を取得するには、休日出勤後に代休を申請しなければなりません。また、休日に働いた分は割増賃金を支払う義務があります。法定休日(主に日曜日)に出勤した場合は35%の割増料金が支払われます。

法定休日と法定外休日とは

法定休日
労働基準法第35条では、会社は従業員に対し、毎週少なくとも1日の休日か、4週間を通じて4日以上の休日を与えなければなりません。この休日を法定休日といいます。

法定外休日(所定休日)
法定外休日とは、法定休日以外に会社が社員に与える休日のことです。週休2日制の企業の場合、土曜日と日曜日が休日となります。日曜日を法定休日としたら土曜日が法定外休日(所定休日)となります。土曜日と日曜日、どちらを法定休日にするかは就業規則に表記しておく必要があります。

代休の有効期限は法的には規定されていませんが、有給休暇の有効期限(時効)が2年と労働基準法で定められているので、それに準じて2年ともいえます。しかし代休は休日出勤日の近い日に取ることが原則です。企業では代休の有効期限は1か月以内というところが多いようです。

振替休日、有給休暇、代休の期限や異なる点などを解説しました。社員など働く人たちにとって代休、振替休日、有給休暇はナーバスな部分です。それぞれのポイントを熟知して法的にも的確に対応することは、働く人たちのモチベーションの向上にもなり、働きやすい会社づくりには極めて重要なことです。

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