コーヒーブレイクCoffee Break

フレックスタイム制を採用したら、勤怠管理はどう行う?

フレックスタイム制は社員のライフスタイルに応じた働き方ができる制度です。しかし、社員によって出勤・退勤時間がまちまちなので通常のワーキングスタイルよりも複雑になりがちです。そのため、管理の難しさがあります。勤怠管理もフレックスタイム制の特徴を熟知していなければなりません。フレックスタイム制の導入から勤怠管理の方法まで紹介します。


フレックスタイム制とは

フレックスタイム制を導入している企業は社員1,000名以上で約20%

(参照:I-特-18図 フレックスタイム制を導入している企業の割合の推移|内閣府男女共同参画局)

ワークライフバランスに重きが置かれるようになり働き方も多様化しています。そのニーズに対応したのが勤務時間を会社員が自身で設定できるフレックスタイム制です。導入する企業は増加の一途にあります。平成27年内閣府の調査によりますとフレックスタイム制を導入している企業は社員1,000名以上でおよそ20%、社員100名以下では2%です。国家公務員の一般職でも2016年からフレックスタイム制が導入されました。

コアタイム、フレキシブルタイムとは

フレックスタイム制には2種類の労働時間があります。それがコアタイムとフレキシブルタイムです。
一般的なフレックスタイム制ではコアタイムとフレキシブルタイムが設定されています。コアタイムとは労働者が1日のうちで必ず働かなければならない時間帯のことです。これに対して、フレキシブルタイムとは労働者が自身の裁量で決められる時間帯のことです。
労働者は定められたフレキシブルタイムの中から、自分が働きたい(あるいは働くべき)時間を決定します。フレックスタイム制ではコアタイムとフレキシブルタイムの割合が大切です。
コアタイムが長過ぎるとこれまでの勤務スタイルとさほど変わらなくなるからです。

フレックスタイム制の労働時間(基本モデル)

(引用:フレックスタイム制の適正な導入のために|東京労働局労働基準部・労働基準監督署)

上記図は東京労働局が提示するフレックスタイム制の基本モデルです。
12時から13時の休憩を挟みながら10時から15時をコアタイムとし、6時から10時及び15時から19時までをフレキシブルタイムとしています。

フレックスタイム制のメリット&デメリット

フレックスタイム制は社員の裁量にまかせることが多く、次のようなメリットやデメリットがあります。

メリット

生活スタイルに合わせた出勤・退勤ができる
出退社の時間をずらすことで、通勤ラッシュを避けられ、また遠方に住んでいる社員でも余裕をもって出勤できます。
自身や家庭の都合に合わせた自由な勤務が可能になる為、家族の介護が必要になった場合など、退職することなく働き続けることができます

残業時間の軽減化につながる
社員が働きたい時間を選択できるため、業務効率の向上が期待できます。また残業時間は清算期間の総労働時間で判断するため、残業時間の短縮、残業代の削減が期待できます。

優秀な人材の採用や社員の定着率の向上に
通常の労働時間では働けない優秀な人材の確保や流失防止につなげられる可能性があります。

デメリット

業務への支障
社員同士のコミュニケーションが不足すると、業務効率が低下する可能性があります。また自己管理ができない社員がいる場合には、業務に支障が出ます。同じ部署の社員が出社していない事から、その業務を誰かが代わりに行わなければならなくなり、更には担当者不在により取引先対応がおろそかになり、場合によっては信用を失うことがあります。

フレックスタイム制を導入するには

まずは、就業規則を変更する必要があります。就業規則に「始業・終業時刻を対象となる労働者本人の決定に委ねる。」旨の規定を追加し、労働基準監督署に届け出なければなりません。
10人未満の会社などで、就業規則がない場合には、就業規則に準ずるものに規定することで構いません。また届け出の義務もありません。
次に、会社(使用者)は、労働者の過半数で組織する労働組合があるときはその労働組合、それがないときは、労働者の過半数を代表する者との間で、フレックスタイム制に関する労使協定を締結する必要があります。こちらは、労働基準監督署への届け出は不要です。

労使間での協定で決めること

労使協定では下記のことを決定します。
〇コアタイムとフレキシブルタイム
コアタイムを設定する場合には、その開始および終了時刻を定めるとともに、フレキシブルタイムの開始および終了の時刻も定めておかなければなりません。
〇フレックスタイム制の対象となる労働者の範囲
対象労働者の範囲は、全従業員とすることもできますし、特定の従業員、特定の部署など、様々な範囲に設定することができます。
〇総労働を測る期間(清算期間)
清算期間は通常1か月の範囲内で決定します。賃金計算期間とあわせて、1か月とすることが一般的です。
〇清算期間における総労働時間
清算期間内における総労働時間をあらかじめ定めておく必要があります。清算期間内の総労働時間は法定労働時間の総枠と同じ時間が上限です。下図を参照してください。

<法定労働時間が40時間/週の場合、清算期間における総労働時間>

清算期間法定労働時間の総枠
31日177.1時間
30日171.4時間
29日165.7時間
28日160.0時間
7日40.0時間

労働時間が上記の時間を超える場合は時間外労働となります。フレックスタイム制ではその月に残業代を払うのが原則です。翌月への繰越はできません。

〇標準となる1日の労働時間
清算期間中に年次有給休暇を取得した際に、これを何時間労働したものとして賃金を計算するのかを明確にしておくためのものです。単に「標準となる1日の労働時間は8時間とする。」という様に時間数を定めることで足りるものです。

フレックスタイム制は勤怠管理を複雑にする

フレックスタイム制の時間外労働は清算期内の総労働時間で判断

社員一人ひとりの勤務時間が違うフレックスタイム制は通常の労働時間制の勤怠管理と比較すると勤務時間の管理や残業代の計算などが複雑になるので担当者には大変な手間となります。例えば時間外労働。これまででしたらタイムレコーダーをもとにエクセルなどで簡単に計算できましたが、フレックスタイム制の時間外労働は清算期内の総労働時間で見極めます。 (フレックスタイム制を導入するには―〇清算期間の総労働時間 参照)その日のみの勤務時間では残業時間は把握することができません。

フルフレックスタイム制では勤怠管理法も違う

業種によってはコアタイムを設けるフレックスタイム制、コアタイムを設けないフルフレックスタイム制を導入する企業もあるでしょう。すると、遅刻、早退など勤怠管理も違ってきますし、計算方法も煩雑になってきます。そこで勤怠管理ツールの出番です。

フレックスタイム制の管理は勤怠管理ツールにおまかせ

フレックスタイム制での使いやすさを凝縮した勤怠管理ツール

各社独自の工夫を凝らしたフレックスタイム制に対応した勤怠管理ツールが登場しています。例えばA社の勤怠管理ツールは、コアタイムを指定、時間外労働を自動清算することでフレックスタイム制に即応します。B社の勤怠管理ツールは、通常の労働時間管理からフレックスタイム制、シフト制度まで幅広い就労スタイルに対応。部署別や職種別など複数の勤怠管理方式を簡単に実現します。

多様化する働き方を効率よく管理

フレックスタイム制になっても社員、従業員の勤怠状況を正確につかんでおくことは企業の責務です。自社の業態、規模に合った勤怠管理ツールを選択いただければ社員ごとで異なるフレックスタイム制の勤務時間をきちんと管理でき、業務の効率化を図ることができます。フレックスタイム制はもちろん、これからますます多様化する働き方にも応えます。

まとめ

フレックスタイム制の概要からメリット&デメリット、導入や勤怠管理の方法を紹介しました。フレックスタイム制の主眼は働く人の判断でタイムマネジメントができ、労働時間を短縮することにあります。
働き方改革、女性活躍推進法の成立などフレックスタイム制の普及に国はいっそう取り組んでいきます。
社員が100名以下の中小企業でも今後採用されていくことでしょう。そのためにも勤怠管理ツールの導入をご一考ください。

お問い合わせ