コーヒーブレイクCoffee Break

健康経営優良法人とは? 認定されるにはどうすれば良いか

健康的に働ける職場が多くなることで、多くの社会人が安心して働き生活できる環境が生まれ、結果的に日本全体の活力の向上にもつながるものです。
また、従業員が健康的に働けるようになることで、企業の労働生産性が向上しますので、健康経営を推進することは、企業、従業員ともにメリットがあるものと言えるでしょう。
健康経営の取り組みを促進するための制度として、健康経営優良法人認定制度というものがあります。健康経営に取り組んでいる企業に対して与えられる認定で、認定されることで企業のイメージアップなどにつながるものです。
ここでは、健康経営優良法人とはどのようなものか、また、認定されるための条件にはどのようなものがあるかご紹介します。


健康経営優良法人とは

健康経営優良法人とは、日本健康会議によって「優良な健康経営を実践している企業である」と認定された法人のことを指します。認定制度の歴史はまだまだ浅く、2017年度から始まりました。
法外な長時間勤務、サービス残業、パワハラなど、劣悪な労働環境による過労死、自殺が相次いだことにより、社会全体で「従業員が心身ともに安心して健康的に働くことができる職場環境」を求める気運が高まっています。
そこで昨今注目されるようになったのが「健康経営」という言葉です。企業全体で従業員一人ひとりの健康管理をサポートするという取り組みで、従業員が健康的に働けるようになることで、従業員一人ひとりのモチベーションが向上し、企業全体の労働生産性がアップします。
結果的に日本社会全体の活性化にもつながることから、経済産業省が推進している事柄のひとつです。
多くの企業が積極的に健康経営に取り組むよう、設けられたのが健康経営優良法人認定制度。規模の大きな法人や医療法人を対象とした「大規模法人部門(ホワイト500※)」、中小規模の法人や医療法人を対象とした「中小規模法人部門」の2部門に分かれており、それぞれで健康経営優良法人として認定します。
ブラック企業問題が叫ばれる現代社会において、社員の健康管理をサポートするという「社員に寄り添った経営」を行う企業のイメージは求職者の目からはかなりよく見えるものです。健康経営優良法人に認定されることで企業自体のブランド力やイメージアップにつながると言えます。
※経済産業省が公表している、健康経営優良法人の大規模部門での認定会社を2020年までに500社以上にするという方針のこと。

健康経営優良法人の認定基準:大規模法人部門

健康経営優良法人認定制度には、大規模法人部門(ホワイト500)と中小法人部門の2部門があり、それぞれで認定基準が少々異なります。
まずは大規模法人部門の認定基準を見ていきましょう。

大規模法人部門に該当するのは以下のような法人です。

・製造業その他:従業員数301人以上
・卸売業:従業員数101人以上
・小売業:従業員数51人以上
・医療法人、サービス業:従業員数101人以上

健康経営優良法人認定基準には5つの大項目があり、それぞれの大項目が細かな評価項目に分けられています。
大企業法人部門の認定基準の評価項目は以下のようになります。

大項目1:経営理念
評価項目:健康宣言の社内外への発信

大項目2:組織体制
評価項目:健康づくり責任者が役員以上、健康保険者と連携

大項目3:制度、試作実行
評価項目①定期検診受診率の実質100%
評価項目②受診推奨の取り組み
評価項目③50人未満の事業場におけるストレスチェックの実施
評価項目④健康増進、過重労働防止におけるストレスチェックの実施
評価項目⑤管理職または一般社員に対する教育機会の設定
評価項目⑥適切な働き方実現に向けた取り組み
評価項目⑦コミュニケーションの促進に向けた取り組み
評価項目⑧病気の治療と仕事の両立の促進に向けた取り組み
評価項目⑨保健指導の実施及び特定保健指導実施機会の提供に関する取り組み
評価項目⑩食生活の改善に向けた取り組み
評価項目⑪運動機会の増進に向けた取り組み
評価項目⑫受動喫煙対策に関する取り組み
評価項目⑬従業員の感染症予防に向けた取り組み
評価項目⑭長時間労働者への対応に関する取り組み
評価項目⑮不調者への対応に関する取り組み
評価項目⑯産業医または保健師が健康保持、増進の立案、検討に関与

大項目4:評価、改善
評価項目:健康保持、増進を目的とした導入施策への効果検証を実施

大項目5:法令遵守
評価項目①定期検診を実施している
評価項目②健保等保険者による特定健康診査、特定保健指導の実施
評価項目③50人以上の事業場におけるストレスチェックを実施している
評価項目④従業員の健康管理に関連する法令について重大な違反をしていない


大規模法人部門で健康経営優良法人に認定されるには、大項目1、2、4、5すべての評価項目の実施が必須となっています。
大項目3については、評価項目⑯に関しては必須、そして①~⑮に関しては12個以上の実施が必要です(⑫に関しては「健康経営優良法人2019」以降必須項目となりました)。

【認定までのプロセス】

1.経済産業省が実施している「従業員の健康に関する取り組みについての調査」に回答する
2.回答結果に基づき、健康経営優良法人の要件に適合しているか判定してもらう
3.健康経度が上位50%であれば申請資格を獲得でき、その後、保険者と連名で申請
4.認定審査を受ける
5.日本健康会議で認定を受ける

健康経営優良法人の認定基準:中小法人部門

中小法人部門の認定基準は、大規模法人部門と少々異なります。

中小法人部門に該当するのは以下のような法人です。

・製造業その他:1人以上300人以下
・卸売業:1人以上100人以下
・小売業:1人以上50人以下
・医療法人、サービス業:1人以上100人以下

中小法人部門も、大規模法人部門と同様の評価項目が設けられています。
大項目1、2、4、5について必須なのは同様ですが、大項目3に関しては以下のように必須項目が細分化されています。

評価項目①~④について、2項目以上の実施
評価項目⑤~⑧について1項目以上の実施
評価鉱億⑨~⑮について3項目以上の実施
評価項目⑯について不問

上記の認定要件を満たすことで、健康経営優良法人の中小法人部門に認定されます。

【認定までのプロセス】

中小法人部門で健康経営優良法人認定されるまでのプロセスは、大規模法人部門のプロセスと多少異なります。

1.所属する保険者が実施する「健康宣言」に参加する
2.自社の取り組みの状況を確認して、認定基準に該当する具体的な取り組みについて申請書に記載する
3.保険者経由で申請する
4.認定審査を受ける
5.日本健康会議で認定を受ける

中小規模法人部門では、所属している保険者(全国健康保険協会および健康保険組合)が健康宣言の取り組みをしていないと申請できませんので、保険者が健康宣言しているかどうかを所属している保険者に問い合わせるようにしましょう。

大規模法人部門、中法人部門ともに、2018年に認定された法人の数が、2017年の第1回に認定された法人数と比較して大幅(2倍以上)に増加しています。それだけ各企業による健康経営への取り組みが進んでいるということで、今後も認定法人数は増加するものと予想されています。
健康経営は社員一人ひとりにとってメリットがあるだけではなく、企業にとって、そして日本の社会全体にとっても大きなメリットがあるものです。より良い社会づくりのために、健康経営優良法人の認定を目標にしてみてはいかがでしょうか。

お問い合わせ