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CHALLENGENDSの挑戦
〜コンテンツ配信ビジネス〜

KEY
PERSON
進化しつづけるデジタルサイネージの
最先端に立ち、
社会のニーズに応える
H.N
Y.TSUBOE
SB事業グループ ez-コンテンツ 運用リーダー
メディア学部メディア学科 2014年入社
プロジェクトの背景
街中から商業施設、オフィスビルなど、あらゆるシーンに設置され、美しい動画やリアルタイムのニュースなど多様なコンテンツを提供してくれるデジタルサイネージ。NDSは、このデジタルサイネージの黎明期からコンテンツ配信などに先駆的に挑み、新しいビジネスの柱として育ててきた。坪江は2014年、入社早々にプロジェクトに加わり、現在は運用チームのリーダーを担っている。

PROJECT STORYこのプロジェクトの
これから
について聞いてみました。

デジタルサイネージに見い出した可能性「自ら」立ち上げたからこそ先駆者になれた

「銀行の窓口向けに、自社でコンテンツ配信を行っているのだが、手伝ってくれないか」。以前に仕事で付き合いのあった某通信社から、そんな依頼が持ちかけられた。2008年のことだった。

このプロジェクトにおいて中心的な役割を担ったのが、当時、大手SIer向け案件を手がけていた山本と富永だった。コンテンツ配信のインフラを請け負い、金融機関向け配信事業を「自ら」新たに立ち上げていった。「銀行は自行の金利をモニターに掲示していたのですが、ずっと金利だけを映しておくのも芸がないので、併せてニュースも流していたんですね。そうしたニュースのデータ配信を通信社が担っていたので、そこをチャンスと見て、事業・製品企画を練っては、少しずつ金融機関への配信を増やしていきました」と、営業担当だった富永は当時を振り返る。

富永の直感は当たった。「デジタルサイネージ」の概念が一般化し、金融機関のみならず、交通媒体や商業施設にも多く導入されるようになってきたのだ。とはいえ、データのままでは放映できないので、自ら加工してコンテンツ化する必要があった。

開発を担当した山本は他の業務の合間を縫い、Flash の技術を用いてWEB-UIでデータのコンテンツ化を制御するしくみを開発。そして2010年、単なるデータ配信だけでなく、通信社からデータを仕入れ、自社で加工し、デジタルサイネージ向けのコンテンツとして販売する事業に乗り出す。これが NDS のデジタルサイネージ向けコンテンツ配信サービス『ez-コンテンツ』のはじまりだ。

「『ez-コンテンツ』は、『データを売りたい』という想いを持つ通信社、そして『データがあってもそれだけでは表示できない』という悩みを持つデジタルサイネージのメーカー両者をつなぐ、隙間ビジネスだったんです」と富永は語る。

後にプラットフォームは Flash から HTML へと移行され、これによりデジタルサイネージメーカーとの連携は加速。5年ほどで事業を確立し、軌道に乗せた。「コンテンツプラットフォームとしての先駆けだったこと、連携方式が多様であらゆる顧客ニーズに応えられること、高いセキュリティを誇ったこと」が勝因だという。

NDS の技術とノウハウによって夢の広告は現実となった

よりいっそうHTML技術を推進していくために新たな役割を担うことになったのが、2014年に入社した坪江だ。学生時代からHTML5を手がけてきた坪江は、採用面接の時から『ez-コンテンツ』に興味を抱いていたという。入社後『自ら』この事業をやりたいと手をあげ、開発や運用を担当。徐々にチームの主軸となっていった。

やがてデジタルサイネージコンソーシアムへの参加や、「デジタルサイネージジャパン(DSJ)」への出展を通して、コンテンツプラットフォームとしての『ez-コンテンツ』の知名度はますます高まっていく。そして、NDSのコンテンツ配信ビジネスは次なるステージへと突入する。広告ビジネスへの参入だ。

きっかけは、「渋谷スクランブル交差点にある大型ビジョン4面を連動放映できないか」という打診だった。ハチ公前広場の、あの有名な大型ビジョンも、それまで人間の手でシンクロさせていた。そこで、大手機器メーカーでの放送制御のノウハウを持つ NDS に白羽の矢が立ったわけだ。

こうして完成させたのが、広告素材を何画面でもシンクロさせて同じタイミングでキューを出せるシステム『ez-VideoPlayer』。「屋外広告は、パソコン制御が一般的なデジタルサイネージと異なり、放送機器の制御となります。『コンテンツ配信』と『放送機器制御』双方のノウハウを持つ NDS だからこそ実現できたシステムです」と坪江は言う。

この4面同期のインパクトは大きかった。それに目をつけた大手広告代理店が早速、新たな相談を持ちかけてくるほどだった。「ちょうど開催される大規模スポーツイベントの試合結果と広告を連動させたい、という相談を受けました。当時、屋外広告は2週間前に入稿した広告を放映するというのが一般的。一見簡単のように思えるかもしれませんが、試合結果のような即時性とは相性が悪いものだったんです」と、当時の屋外広告の常識を坪江は説明する。

坪江たちは、『ez-VideoPlayer』に、別素材を差し込みで放映できる速報入稿機能を追加開発した。これで前日に行われた試合結果を放映できるようになったのだ。この成功は広告代理店に、ある確信をもたらす。それは、「DDOOH(Dynamic Digital out of Home media)」、つまり、リアルタイムに広告を生成・出し分けして放映するという構想が、NDS となら実現できるのではないか、というものだった。

一人の「自ら」が、みんなの「自ら」へダイナミックなチャレンジで切り拓いていく

2016年、その構想が『ez-DynamicAD』として結実する。広告業界においてそれほどに熱望されていた「DDOOH」。果たして具体的には何ができるのか。たとえば、3時間後の天気と降水確率をもとにおすすめスポットを紹介したり、スポーツの試合結果に応じた応援メッセージを出し分けてビジョンに放映し、一緒に盛り上がるキャンペーンを実現することが可能。さらには、SNSのリアクション数で特典が変わるキャンペーンを企画し、途中経過を広告とともに放映するといったこともできるのだ。

「DDOOH」なら、外部からの情報をもとに、人の心理に合わせた広告を選択し放映することで、広告の訴求力を高め、媒体の価値を向上できる。まさに新しい時代の広告といえるだろう。もちろん、この技術は街角の大型ビジョンから、交通広告まであらゆる媒体で応用できるものだ。

そんな中、NDS は全国5地域で、各地の気温やイベントによって広告を出し分けるという、より「ダイナミック」なチャレンジを成功させ、その評価を確固たるものにした。順風満帆のようだが、坪江は「広告業界はとにかく変化が速いんです。止まって考えていてはダメ。走りながら判断して提案していく、そのくり返しでした」と苦労を語る。そう、広告は技術のみならず、企画に応じた柔軟な運用が欠かせない。坪江は今、Web広告配信の仕組みを利用して複数の広告枠をネットワークでつなぎ、広告の取引や配信を自動化したProgrammatic-DOOHにも取り組んでおり、最先端の技術にふれながら広告業界をシステム面で支えている。

「もちろんライバルは次々と現れますが、私たちNDSが長年培ってきたアドバンテージは揺るぎません。コンテンツを仕入れて様々な条件に応じて媒体に配信する仕組みを提供することは、容易に実現できるものではないのです。黎明期からニッチなポジションを意識し、チーム外の社員も『自ら』手伝ってくれて、みんなでワイワイガヤガヤ楽しく、そして、コツコツと蓄積してきたことが結果的に他社の参入障壁になったんだと思います」。富永はそう胸を張る。

ひとりの「自ら」が、みんなの「自ら」へ。NDS のデジタルサイネージ向けコンテンツ配信ビジネスは、これからもそんな強みを武器に時代を切り拓いていくのだろう。