1.特別休暇とは
(1)特別休暇とは
特別休暇とは、企業が自由に設定できる休暇制度です。福利厚生の一環として、従業員のモチベーションを保つために導入している企業が増えています。
また、厚生労働省も下記の「働き方・休み方改善ポータルサイト」にて特別休暇制度を推し進めています。
出典:働き方・休み方改善ポータルサイト
(2)法定休暇と法定外休暇
法定休暇は、労働基準法などで定められており、年次有給休暇や育児休暇、介護休暇が挙げられます。
一方で、法定外休暇は、病気休暇や慶弔休暇、リフレッシュ休暇等が挙げられます。
<病気休暇>
病気休暇は、病気や怪我等で治療が必要な労働者をサポートするための休暇制度です。取得できる日数や取得単位は、企業によって様々です。最近は、より病気休暇を利用しやすくするために時間単位での取得が可能な企業も増えています。
<慶弔休暇>
慶弔休暇は、結婚や葬儀等労働者の慶事や弔事の際に取得できる休暇制度です。取得できる日数は、出来事によって決定している企業が多い傾向にあります。また、本人や続柄によって取得日数に差を設け、決定しています。
<リフレッシュ休暇>
リフレッシュ休暇は、年次有給休暇とは別に、労働者の心身の回復を目的とする休暇制度です。多くの企業では、勤続年数に応じて取得日数を決定しています。
(3)導入するメリット
①従業員のモチベーション維持と生産性の向上
法律で定められている休暇とは別に取得できる特別休暇は、心身の疲労を回復させ、労働者のモチベーション維持と向上に貢献し、企業にとっても生産性の向上を期待できる点がメリットであると言えます。
②企業のイメージ向上
様々な特別休暇を導入している会社は、それだけ利用できる選択肢があるということなので、働きやすい企業としてアピールでき、イメージの向上につながります。また、優秀な人材が集まりやすくなる可能性も高いと言えます。
2.特別休暇を導入するにあたり企業が行うべきこと
新様式の労使協定への対応
特別休暇は、就業規則の絶対的必要記載事項に該当するため、常時10人以上の労働者を使用する企業は、就業規則に記載する必要があります。
定めておくべき内容としては、以下のとおりです。
・目的
・取得対象者
・取得要件
・給与の取り決め
・申請手続き
【目的】
自社にとって、どのような特別休暇制度が必要なのかを洗い出し、目的を明確にしましょう。
【取得対象者】
どの雇用形態までが取得対象者なのか決定しましょう。
【取得要件】
取得要件を明確に定めていないとトラブルになります。特に、2日以上特別休暇を取得する場合は、途中で休日を挟むケースもあるため、その付与日数が暦日なのか労働日数なのかを明確に決める必要があります。
【給与の取り決め】
労働基準法において定められているような年次有給休暇と異なり、取得した日数に対して給与が支給されるかどうかは、明確に定められていません。そのため、有給とするか、無給とするかを決める必要があります。
就業規則の変更後の流れは以下のとおりです。
①労働者の過半数代表者を選出する
②就業規則の変更内容に対して労働者の過半数代表者の意見を聴き、意見書を作成する
③就業規則変更届を作成し、管轄労働基準監督署に提出する
④労働者への周知
なお、就業規則の効力が発生する日は、労働者に周知した日とされていることから、就業規則を変更しても周知がされていなければ、特別休暇を利用することができないため、留意する必要があります。
3.おわりに
特別休暇は、法律に規定されていないため、企業が独自に設定することができます。
最近は様々な特別休暇制度がありますので、「働き方・休み方改善ポータルサイト」に記載されている導入事例などを参考に、自社に合った特別休暇制度を導入し、
労働者が心身ともに充実した状態で業務への意欲と能力を発揮できる職場環境を整備していきましょう。
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